ABOUT
五つの道が交わる町に、
宿を作りました。
奈良の南、五條。古い街道の町に残っていた一棟の町家を、宿として直しました。
Place
五條は、街道の町だった。大和、紀伊、河内、伊勢、高野——五つの道が、この町で交わっていた。旅人はここで夜を明かし、次の旅へと向かう英気を養った。商いが栄え、蔵が建ち並んだのも、この交差点があったからだ。
新町通りを歩けば、今もその面影が残っている。江戸時代から変わらない卯建の町並みは、観光地にはなりきれていない、生きた街の姿のまま続いている。
その地理は、今も変わらない。中南和の自然をめぐるなら、どこへ行くにも五條が起点になる。あまり知られていないが、だからこそ、ここには静けさがある。
Building
五條の旧市街に、築100年の町家が残っていました。長く人が暮らしてきた建物で、引き戸を開けると、外とは別の時間が流れている。
傷んでいた部分は直しながら、建物が持っていたものはできるだけそのままにしました。古い梁、石畳の土間、光の入り方。何十年もかけて育まれてきたものは、新しく作ろうとしても作れない。
その建物を、まるごと一棟の宿にしました。
Concept
旅で見たもの、感じたこと、誰かと交わした言葉が、夜になっても体の中に残っている。宿に帰ってから、その日のことをゆっくりと反芻する時間が、旅をより深くする。
翌朝、帰路についても、まだ続いていく。その感覚が消えるまでの時間も、旅の一部だと思っている。
その余韻を、ゆっくりと過ごす場所として、この宿を作りました。