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余韻 奈良五條
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Journal– category –

  • 〔写真:みたらい渓谷 夏〕
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    8月の余韻|みたらい渓谷で、夏の水に入る。

    奈良の盆地は、8月になると逃げ場がない。山に囲まれた地形が熱を溜め込み、夜になっても抜けていかない。そういう季節に、天川村の渓谷には大峰山から流れてくる冷たい水がある。 みたらい渓谷を目指して、山道を走る。標高が上がるにつれて、少しずつ空気が変わってくる。天川村に入ったころには、窓から入ってくる風の質がまるで違った。それでも、渓谷に下りるまでは我慢だ。 〔写真:みたらい渓谷 夏〕 みたらい渓谷へ 遊歩道に入ると、すぐに空気が変わる。 〔写真:みたらい渓谷 吊り橋〕 両側に迫る岩壁が日差しを遮り、川からの冷気が下から上へと流れてくる。炎天下を歩いてきた体に、それが一気に沁みた。エメラルドグリーンの水は、夏になっても透き通っている。 〔写真:...
  • 〔写真:石舞台古墳〕
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    7月の余韻|飛鳥の棚田と、五條の一棟貸しで過ごす夏。

    7月の飛鳥は、暑い。 それでも、ここへ来ると、1400年前から変わらない風景が広がっている。青い空の下に、緑の棚田。石段の上に、巨岩。遠い時代の話なのに、どこか身近に感じられる場所だ。 〔写真:石舞台古墳〕 飛鳥へ 石舞台古墳は、蘇我馬子の墓と伝えられる、わが国最大級の方墳だ。30数個の巨石を積み上げた石室が、今もそのまま残っている。総重量は約2300トン。盛り土が失われて石室が露出したのは、誰かが意図的に剥がしたのか、自然に失われたのか、今もわかっていない。それでもこの巨石が、飛鳥時代の人間の手で積まれたという事実は変わらない。 石室の中へ入ると、外の暑さが嘘のように、空気が変わる。天井石を見上げると、それがただの石とは思えなくなってくる。誰...
  • みたらい渓谷 新緑
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    6月の余韻|みたらい渓谷と、吉野川の蛍。

    6月の奈良は、雨と緑の季節だ。 梅雨の晴れ間を選んで、天川村へ向かう。みたらい渓谷——エメラルドグリーンの淵と、大小の滝が連なる渓谷は、新緑のこの時期が、一年で最も水の色が鮮やかだと思う。 みたらい渓谷へ 天川川合を起点に、遊歩道を歩く。川沿いの道は木々が高く、日差しがまだらに差し込んでくる。ひんやりとした空気の中に、水の音だけがある。6月の渓谷は、雨を吸い込んだ緑が一年で最も深い。 みたらい渓谷の名の由来は、「御手洗(みたらい)」——神が手を洗う場所、という意味だ。それほどの清らかさがあると、昔の人が感じた場所ということだろう。実際に水の色を見ると、その感覚は大げさではないと思う。エメラルドグリーンの淵は、深くなるほど色が濃くなる。底が...
  • 長谷寺 牡丹と住職
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    5月の余韻|長谷寺のぼたんと、五條の一棟貸しで過ごす初夏前夜。

    5月の奈良は、桜が終わってからはじまる。 吉野山の花が散ると、次は長谷寺のぼたんだ。399段の登廊(のぼりろう)の両脇に、約150種・7,000株の花が咲き並ぶ。屋根のついた石段を上りながら見上げると、ぼたんの色が次々と変わっていく。赤、白、ピンク、淡い黄色。それほどの量の花を一度に見たことは、なかった。 長谷寺へ 真言宗豊山派の大本山、長谷寺は「花の御寺」と呼ばれる古刹だ。686年の創建以来、桜・ぼたん・紫陽花・紅葉と、季節が変わるたびに境内の表情が変わる。5月はぼたんの時期であり、それだけを目的に訪れる人も少なくない。 仁王門をくぐると、登廊がはじまる。屋根のついた石段が、緩やかにカーブしながら上へ続いている。最初の数段は、まだ「寺を歩いている...
  • 吉野山 上千本
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    4月の余韻|奈良・吉野の桜と、五條の一棟貸しで過ごす春。

    4月の吉野山は、春の奈良の中心にある。 下千本、中千本、上千本——山をそのまま染める約3万本のヤマザクラ。桜は植えられたものでなく、1300年にわたって神木として守られてきた。それを知ってから見ると、山の見え方が少し変わる。 吉野山へ できれば午前中に山へ入りたい。人が多くなる前の、まだ静かな時間に歩くと、桜の下で自然と足が止まる。 吉野山の桜は、ソメイヨシノではない。約3万本のヤマザクラ——白に近いピンクの花びらが、新緑の葉と一緒に開く。花だけが先に咲くのではなく、緑と白が混ざりながら山を染める。それが、遠くから見ると霞のように見える理由だ。写真で見たことはあったけれど、実際に山の前に立つと、スケールがまるで違った。 下千本から歩き始める。参...
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