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5月の余韻|長谷寺のぼたんと、五條の一棟貸しで過ごす初夏前夜。

2026 4/10
Journal
2026年4月10日

5月の奈良は、桜が終わってからはじまる。

吉野山の花が散ると、次は長谷寺のぼたんだ。399段の登廊(のぼりろう)の両脇に、約150種・7,000株の花が咲き並ぶ。屋根のついた石段を上りながら見上げると、ぼたんの色が次々と変わっていく。赤、白、ピンク、淡い黄色。それほどの量の花を一度に見たことは、なかった。


長谷寺へ

真言宗豊山派の大本山、長谷寺は「花の御寺」と呼ばれる古刹だ。686年の創建以来、桜・ぼたん・紫陽花・紅葉と、季節が変わるたびに境内の表情が変わる。5月はぼたんの時期であり、それだけを目的に訪れる人も少なくない。

仁王門をくぐると、登廊がはじまる。歩みを進めるたびに花が増え、上へ行くほど自然と足が遅くなる。そうして399段を上り切ると、山の斜面から張り出した懸造りの本堂(国宝)が現れる。舞台に立って振り返ると、今しがた歩いてきた登廊と、その先に続く参道が一望できる。ぼたんの見頃は4月中旬から5月上旬。


ぼたんが終わると、次は紫陽花の季節がはじまる。6月上旬から7月上旬、登廊沿いに咲く紫陽花もまた、雨の中の長谷寺を別の顔に変える。

〔写真:長谷寺 紫陽花〕
〔写真:長谷寺 廊下〕

長谷寺を出て、五條へ向かう。余韻まで、車で約1時間。山を越える道は、窓の外の緑がまだ新しい。


チェックインの後に、温泉へ

16時、余韻の扉を開ける。

余韻 室内

荷物を置いたら、金剛の湯へ向かう。新町通りを散歩がてら歩いて、10分もかからない。地下1,300mから汲み上げた湯は、とろりとした質感がある。長谷寺の石段を歩いた脚が、湯に沈むとようやく解けていく気がした。夕方の時間帯は空いていて、露天でゆっくり夕暮れを待つことができる。

宿に戻ると、まだ明るかった。夕食まで、少しゆっくりする。


庭でBBQ

5月の夕方は、空が長い。

余韻の庭で焚き火

余韻の庭に炭を起こし、来る途中で買い出しておいた食材を並べた。火が落ち着くのを待ちながら、缶を一本開ける。温泉で緩んだ体に、よく沁みる。炭火の前に立っていると、空がゆっくりと橙色に変わっていく。やることがあるようで、ないような時間だ。


日が傾きはじめたころ、食べはじめる。炭の香りが、まだ空気の中にある。


〔写真:余韻 BBQ〕

焚き火の夜

食事が終わったら、焚き火に切り替えた。

5月の夜はまだ少し肌寒い。それが、火の前に座っていたくなる理由だ。レコードを一枚選んで、針を落とす。何を選んでもいい夜だ。その夜の時間が、余韻の五月だ。

〔写真:余韻 翌朝の庭〕

翌朝

朝、庭に出る。気づけば朝だった。体が沈むように眠りに落ちて、そのまま朝まで動かなかった。

昨夜の焚き火の跡がそのままある。空気の中に、かすかに煙の匂いが残っている。5月の朝の光は柔らかく、庭の緑が静かだ。コーヒーを淹れてから、吉野川の河川敷まで歩いた。朝の川は穏やかで、水面がきらきらと光っている。人もおらず、鳥の声だけが聞こえた。椅子に座ったのは、戻ってからだ。


チェックアウトの朝に

チェックアウトは11時。

奈良県五條市 新町通り入り口

出発前に、新町通りを歩く。

江戸時代から続く町並みは、5月の朝も静かだ。chocobanashiで一杯飲んでから、車に乗る。それが、この旅の締めになる。


余韻
奈良県五條市本町2丁目6-24
チェックイン 16:00 / チェックアウト 11:00

長谷寺
奈良県桜井市初瀬731-1
拝観時間 8:30〜17:00(4〜9月)/ 入山料 大人500円
ぼたんの見頃:4月中旬〜5月上旬
余韻より車で約1時間

金剛の湯
奈良県五條市新町2-1-33
営業時間 10:00〜23:00(最終受付22:15)/ 入浴料 大人800円(平日)
定休日 第1火曜日

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