yoinn余韻 奈良五條

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五條のこと

五條で、一泊する。

五條で、一泊する。

新町通りは、通り過ぎるための道だ。

多くの人がそうする。高野山へ、吉野へ。五條は途中に現れて、途中に消える。

今夜は、ここに泊まる。


15:00 — 新町通りを歩く

荷物を持ったまま、通りを歩いた。チェックインまで、少し時間がある。

江戸から昭和にかけての建物が、まだ普通に並んでいる。立派に保存されているわけではなく、人が住んでいる。ある家は格子戸が少し傾いていて、軒先に自転車が立てかけてあった。観光地ではないから、立ち止まって建物を見ていても、誰も振り返らない。


16:00 — チェックイン

引き戸を引いた。木の匂い。

中に入ると、天井が低かった。格子窓から差し込む光が床に縞を落としていて、その縞が、雲の動きに合わせてゆっくりと伸び縮みしていた。棚にレコードが並んでいる。壁には何もかかっていない。

今夜は、これが全部自分の場所だ。


16:30 — 金剛の湯へ

宿から歩いて数分のところに、天然温泉がある。

露天の湯に浸かると、空が広かった。山の稜線がちょうど目の高さに見えて、夕暮れ前の光が湯面にゆれていた。どのくらいそうしていたか、わからない。湯から上がると、体が少し軽くなっていた。


18:00 — 夕食

宿のキッチンで、夕食を作った。道具は一通り揃っている。

近くのスーパーで買ってきたものを広げて、特別なことは何もしない。包丁の音。鍋の音。静かな台所で、自分が出す音だけがよく聞こえた。


20:00 — GOJO GIROCCOへ

GOJO GIROCCO。古い蔵を改造した店で、宿から歩いて2分もかからない。

カウンターに座って、五條産のフルーツを使ったカクテルを頼んだ。隣に地元の人がいて、しばらく話した。


22:00 — 帰ってきて、ローソファーで

宿に戻ると、静かだった。

ローソファーに腰を落として、棚からレコードを一枚引き抜く。針を落とすと、音がゆっくりと部屋に広がった。お酒を注いだ。

気がついたら、うとうとしていた。ローソファーのまま、少し眠った。それから、ベッドへ。


翌朝 7:00 — 目が覚める

目が覚めると、部屋に光が入っていた。

時計を見ると、昨日より少し早い時間だった。こんなに深く眠れるとは思っていなかった。


8:00 — 朝散歩、コーヒー、レコード

外に出た。

昨日歩いた新町通りを、また歩く。夕方は西から光が当たっていたが、朝は東から差していて、建物の影が反対側に落ちている。人がいない。空気が冷たかった。川のほうまで足を伸ばすと、山が近かった。水の音が聞こえた。

戻って、コーヒーを淹れた。レコードをもう一枚かけた。


11:00 — チェックアウト

荷物をまとめた。

部屋を一周した。格子窓。レコード棚。ローソファー。昨日の夜と同じ場所に、全部がある。

引き戸を閉めた。通りに出る。

荷物を持って、新町通りを歩いた。来た時と、同じ道だった。

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