
奈良・五條の一棟貸し宿「余韻」を出て、数分歩く。
突然、時間の流れが変わる場所がある。それが、五條新町通りだ。
国の重要伝統的建造物群保存地区に指定された、全長約900メートルの通り。
400年、変わらない町並み
全長約900メートルの通りに、江戸・明治・大正・昭和の建物が混在している。博物館ではない。今も人が暮らし、商いを続けている通りだ。
330棟のうち164棟が伝統的建造物として指定されているが、看板もなければ、案内もほとんどない。ただ、古い建物が静かに並んでいる。2010年、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定された。
日本最古の民家
通りの途中に、ひときわ存在感のある建物がある。栗山家住宅。慶長12年(1607年)の建築。建築年代が明らかな民家としては、日本最古とされる。現在も居住されているため内部は非公開だが、外から眺めるだけで十分な迫力がある。
通りの先に、吉野川
新町通りを歩き切ると、吉野川の河川敷へ出る。春(3月下旬〜5月上旬)には、川沿いに約200匹の鯉のぼりが泳ぐ。これを目当てに訪れる人も多い。
走らなかった鉄道の跡
通りの中ほどに、苔むしたアーチ状の橋脚が残っている。旧国鉄五新線。五條から新宮までを結ぶ計画で、昭和14年に着工したが、太平洋戦争を経て結局レールが引かれることはなかった。幻の未成線だ。
河瀨直美監督の映画「萌の朱雀」は、この五新鉄道を題材に撮られ、カンヌ国際映画祭カメラ・ドールを受賞した。
築250年の町家で、コース料理を
五條 源兵衛は、築250年の商家をそのまま使ったレストラン。その日の朝に採れた五條野菜を中心に、大和牛のコース料理が昼夜ともに提供されている。予約優先のため、訪問前に確認を。
歩き方のヒント
特に目的を決めなくていい通りだ。気になる建物の前で立ち止まり、川沿いで一息つく。それだけで、いい時間になる。余韻からは徒歩数分。チェックアウトの朝でも、チェックイン前の夕方でも、どちらにも似合う。