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日本が始まった場所——

飛鳥・藤原の宮都、世界遺産へ

日本が始まった場所——飛鳥・藤原の宮都、世界遺産へ

2026年7月26日、飛鳥・藤原の宮都が世界遺産に登録された。日本で27件目、文化遺産としては22件目。yoinnから車で二十五分、"日本の始まり"と呼ぶべき風景が、世界の遺産になった。

何が登録されたのか

登録されたのは、六世紀の終わりから八世紀のはじめにかけての、十九の遺跡だ。明日香村・橿原市・桜井市に点在し、大きく三つに分かれる——宮跡(飛鳥宮跡・藤原宮跡)、寺院跡(飛鳥寺・橘寺・川原寺 ほか)、そして古墳(石舞台・高松塚・キトラ ほか)。

単なる遺跡群ではない。ここで評価されたのは、"古代の国家が形づくられていく過程"そのものだった。

なぜ"始まり"なのか

飛鳥は、日本という国のかたちが生まれた場所だ。大陸や朝鮮半島との交流を通じて仏教が受け容れられ、寺が建ち、やがて天皇を中心とする中央集権の仕組みが整っていく。藤原宮(694〜710年)は、日本で初めての本格的な都城——畝傍・耳成・香久山、大和三山に囲まれた、碁盤の目の都だった。ここから、私たちの知る"日本"が始まった。

見どころ

飛鳥寺は、日本で最初の本格的な寺。ご本尊の飛鳥大仏は、日本最古級の仏像で、およそ千四百年、同じ場所に座り続けている。石舞台古墳は、日本最大級の方墳で、蘇我馬子の墓と伝わる。剥き出しになった巨石の石室は、一度見たら忘れられない。飛鳥宮跡は、乙巳の変——のちの大化改新につながる政変——の舞台だ。

高松塚とキトラは、極彩色の壁画で名高い。壁画そのものは保存のため取り外され、それぞれ高松塚壁画館、キトラ古墳壁画体験館「四神の館」で公開されている。飛鳥美人、青龍・白虎——千三百年前の色が、いまも見られる。

丘に登れば、視界がひらける。甘樫丘からは、大和三山と、点在する宮跡・古墳を、一望できる。

里ごと、守られている

飛鳥のいちばんの魅力は、これらが今も人の暮らす里の中にあることだ。棚田のあいだに古墳があり、畦道の先に宮跡がある。ここは特別な法律(明日香法)で村全体の景観が守られていて、高い建物も派手な看板もない。だから、千年以上前の風景の"感触"が、そのまま残っている。万葉集に詠まれた野や山が、いまも同じ稜線で在り続けている——そういう場所は、日本でもそう多くない。

秋の飛鳥

秋、飛鳥はいっそう美しい。シルバーウィークの頃、稲渕の棚田は彼岸花で真っ赤に縁取られる。十月には、藤原宮跡の広大な原に、コスモスが揺れる。かつて都のあった場所に、いま花が咲いている。遺跡は"死んだ過去"ではなく、季節とともに生きている。

拠点として——五條から二十五分

飛鳥へは、yoinnのある五條から車で二十五分。歩いても、レンタサイクルでも巡れる里なので、半日あれば主要な場所は辿れる。

じつはyoinnは、二つの世界遺産のちょうど間にある。南に、紀伊山地の霊場と参詣道(高野山・熊野・吉野)。北に、この飛鳥・藤原。日中は古代の都を歩き、夜は静かな町家へ。観光地化されすぎない場所で、静かに、日本の始まりに触れる旅ができる。

奥大和の秋を一度に巡るなら、「もう一つの奈良——奥大和と世界遺産の秋」も。


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